送信所前の謎
新潟市東区に、「送信所前」という名前のバス停があります。
この名前が、どうも気になるんです。
たいていのバス停は「○○二丁目」とか、「△△高校前」とか、
地名やすぐ近くにある具体的な企業・学校名が入るのが普通かと思います。
しかしこの送信所前、近くに送信所があると思いきや、見当たらないんです。
送信所ってことは、テレビやラジオの送信設備があるのかな、と思い、ちょいと調べてみました。
新潟地域の放送電波の送信設備は、テレビおよびFMラジオはすべて弥彦山の山頂に集中しています。
弥彦山の近くに行くと、山頂にアンテナらしきシルエットが何本も見えます。
では、AMラジオはどうか。
NHKのAMラジオ(NHK第一およびNHK第二)は、新潟市西区にNHK赤塚ラジオ放送所があります。
この赤塚ラジオ放送所が完成したのが昭和25年(ウィキペディアより)で、それまでは白山にあったとのこと。
NHKの送信所が今の東区にあったことは一度もないようです。
新潟のAMラジオはもうひとつ、民放の新潟放送があります。
この山二ツ送信所が完成したのは、昭和26年(これもウィキペディア情報)。
それ以前は、現在の新潟市中央区網川原にあったとのこと。
ということで、新潟放送の送信所も関係ない。
じゃあ、なんで「送信所前」という名前なんだ??
何の送信所があるんだ?
付近を見渡しても、地図を見ても、「送信所」に該当しそうなものは見つけられません。
この謎を、解明してみたいと思います。
【ラジオ送信所の必要条件】
なぜ、「送信所前」という名称のバス停の謎が気になるようになったか。
以前は、何かの送信所があって、何かを送信しているんだろう、程度にしか考えていませんでした。
「別に何だっていいや」、とその程度。
ある日、「AMラジオの送信設備には広大な土地を要する。しかも、川の近くではなければダメなのだ」ということを知ります。
ニッポン放送の会長が「フジテレビ批評」で語っておられました。
それまで、AMラジオもFMラジオも、テレビの放送電波もみんな同じだと思っていました。
だから、東京ならみんな東京タワーから送信されているものだと勘違いしていました。
東京タワーから送信、というのは半分正解で半分間違い。テレビおよびFMラジオは東京タワーから送信されていますが、
AMラジオは各々の送信所から送信されています。
先のニッポン放送の送信所は千葉県の木更津にあります。グーグルマップで確認してみると、確かに川に面した場所にある。
TBSラジオと文化放送は埼玉県川口市にあり、やはり川の近く。
と、在京民放AMラジオ局の送信所を調べてみて、ではここ新潟のAMラジオ局はどうなんだ?と。
新潟のAMラジオ局の送信所は、先に書いたようにあります。やはり、近くに川があります。
なぜ近くに川が必要なのか、というと、先のニッポン放送の会長曰く「アースが必要だから」とのこと。
わかるようでわからん説明ですが、設備としての必要条件なのでしょう。
話は新潟市東区の「送信所前」バス停に戻ります。
AMラジオの送信所は「川の近く」であることが必要であると書きました。
では、「送信所前」バス停の近くはどうなのかと言いますと、
大きな川は阿賀野川がありますが、少し離れている(だいたい1kmくらい)。
でも、大きな「水」があります。
「貯木場」という木材をストックしておく大きな池というか、湖のようなものがあります。
「送信所前」バス停から貯木場を隔てた対岸は、地名が「新潟市東区材木町」と、材木関連の企業が立ち並ぶところ。
この貯木場、AMラジオ送信所としての必要条件は備えているぞ、と(ニヤリ)。
さて、では謎解きに出かけてみたいと思います。